胆道がん


胆道ついて

 胆道は、胆管、胆のう、十二指腸乳頭という3つの部分に分けられます。

 胆管は、肝臓の中に張り巡らされた細い管(肝内胆管)として始まり、それらが合流しながら次第に太くなって、肝門部という肝臓からの出口で1本にまとまります。ここを総肝管といいます。総肝管は胆のうとつながる胆のう管が合流して総胆管となり、膵臓の中を通って、膵液を運ぶ膵管とともに十二指腸につながります。このつなぎ目が十二指腸乳頭です。 肝臓の中の胆管を肝内胆管、肝臓の外の胆管を肝外胆管といいます。(図1)

胆道は、肝臓で作られる胆汁という消化を助ける液を小腸に送る働きをしています。

胆道がん01

胆道がんとは

 胆道がんは胆道にできるがんの総称で、発生した部位によって分類されます。 胆管がんは、がんが発生した場所が肝臓の中か外かによって肝内胆管がんと肝外胆管がんに分類されます。さらに、肝外胆管がんは胆管のどの部位に発生したかによって肝門部胆管がんと遠位胆管がんに分類されます。

 胆道がんは、周囲のリンパ節、肝臓、肺などの臓器に転移したり、膵臓などの周囲の臓器にしみこむように広がる(浸潤)ことがあります。

胆道がんの症状

 胆道がんの症状には、横断、右わき腹の痛み、体重減少などがあります。

胆道がんの検査

 血液検査と腹部超音波検査(エコー)を行います。CT検査やMRI検査などを行ってがんがあるかどうかやその広がりを調べます。内視鏡を使った検査や生検を行うこともあります。

胆道がんの治療

 胆道がんの治療には、手術、薬物療法、放射線治療があります。胆道がんでは、がんを取り除くには手術が最も有効と考えられています。そのため、まず手術ができるかどうかを検討し、手術ができない場合には薬物療法を中心とした治療を行います。

胆道がんの治療選択

 治療法はがんの進行度や体の状態から検討します。がんの進行の程度は「病期(ステージ)」として分類します。病期にあわせて治療法を決めていきます。

 胆道がんの病期は、肝内胆管がん、肝門部胆管がん、遠位胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんに分けて分類されます。

1. 手術ができるかどうかについて

  • 手術に耐えられる体の状態であること
  • 遠隔転移がないこと
  • 肝臓の切除が必要な場合は、切除後の肝臓の機能が十分あると予測できること

2. 手術ができない場合の治療

 手術ができない場合には薬物療法を行います。遠隔転移がない場合には放射線治療を検討することもあります。痛みや症状緩和を目的として薬物療法、放射線治療、胆道ドレナージを行う場合もあります。

胆道ドレナージについて

 胆道にがんができると、多くの場合、がんで胆道が閉そくして、胆汁の流れがせき止められます。胆汁が流れ出なくなると、腸での消化吸収が不十分になったり、黄疸の症状が出たり、手術や薬物療法を安全にすすめることが難しくなったりすることがあります。このため胆道がつまったときにはたまった胆汁を流すための処置を行うことがあります。この処置のことを胆道ドレナージといいます。 胆道ドレナージには外ろうと内ろうの2つの方法があります。

3. 手術(外科治療)

 がんの広がりや大きさに応じて、安全で、できるだけ完全にがんを取りきることができる方法を検討します。 (がんの種類別の手術法)

a. 肝内胆管がん

 がんが肝臓の右葉または左葉どちらかのみにある場合は、がんとその周辺の肝臓の一部またはがんのある側を切除します。がんが左右の葉を超えて広がっている場合には、さらに大きく切除する拡大葉切除を行います。がんが肝門近くにある場合には、肝外胆管や胆のうの切除と同時にリンパ節郭清を行うこともあります

b. 肝門部領域胆管がん

 がんを取りきることを目的として胆管のほかに肝臓や胆のうなど周りの臓器の一部や周囲のリンパ節も切除します。切除後は残した胆管と小腸の一部をつなぐなど再建手術を行います。

c. 遠位胆管がん

 遠位胆管は膵臓を通っているため、遠位胆管にできたがんは膵臓へ広がることがあります。そのため、胆管、胆のう、膵頭部、十二指腸、および連続する胃や腸の一部を切除する膵頭十二指腸切除術を行うのが一般的です。周囲のリンパ節郭清も行います。切除後は残した胆管、膵臓、胃、小腸をつなぎあわせて再建します。

d. 胆のうがん

 がんが胆のう内部にとどまっている場合には胆のう摘出術を行います。がんが胆のうの周囲まで広がっている場合には、その広がりに応じて、肝臓、胆管、膵臓、大腸、十二指腸、リンパ節など周囲臓器の切除が必要になります。

e. 十二指腸乳頭部がん

 十二指腸乳頭部がんの標準手術は膵頭十二指腸切除術です。この手術では、十二指腸、膵頭部、肝外胆管、胆のう、周囲のリンパ節を切除します。残った胆管と小腸、膵臓と小腸または胃とつなぎあわせて再建します。

4. 薬物療法

 がんの進行をできるだけ抑えることを目的として薬物療法を行うことがあります。

a. 手術ができない場合の薬物療法

 手術によってがんを取りきることが難しい場合、がんが再発した場合に行います。薬物療法だけでがんを完全に治すことは困難ですが、がんの進行をおさえることにより、生存期間を延長したり、症状を和らげることができます。

b. 術後補助療法としての薬物療法

 胆道がんの手術では、肉眼的に取り切れていても、目に見えない細胞が残っていて、再発してしまうことがあります。このために再発を予防するために薬物療法を行うことがあります。

当院での胆道がん手術件数

  2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
膵頭十二指腸切除 3件 1件 2件 4件 1件
肝切除 7件 2件 5件 1件 7件
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