小児科
対象疾患
名古屋市南部を中心とした地域の基幹病院の役割を担うべく小児疾患全般を対象として診療を行っています。特に小児腎臓疾患についても基幹病院の役割を担うべく他病院からの難治症例の受け入れも行っています。
心疾患については当院の小児循環器科が先天性心疾患をはじめとする小児循環器疾患の診療を行っています。
治療内容
1.小児のcommon disease(コモンディジーズ、頻度の高い疾患)とその周辺の疾患
common diseaseとは
多くの小児が、発熱、咳、鼻水、下痢、嘔吐、皮膚の発疹、痛み(のど、耳、頭、腹部)などの症状で小児科を受診します。頻度の高い疾患ということでcommon diseaseと呼ばれていますが、その大部分は細菌やウイルスの感染によっておこる感染症です。common diseaseの中では「かぜ」が一番多い疾患ですが、麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)、風疹、リンゴ病などの発疹を伴うウイルス性疾患、溶連菌感染症、百日咳、マイコプラズマ感染症、クループ症候群、RSウイルス性細気管支炎、サルモネラやロタウイルスなどの感染性腸炎、などなど、本当に色々な感染症が含まれてきます。感染症以外の疾患では喘息やアトピー性皮膚炎などは頻度の高い疾患であり、小児のcommon diseaseに含まれると考えられます。小児科医はこのような多くの疾患の中から正確な診断をくだし、適切な治療を行っていきます。
入院が必要な疾患: common diseaseとその周辺の疾患
common diseaseといってもあなどることは出来ません。肺炎、脱水症の合併、細気管支炎や喘息による呼吸困難など、重篤な症状のために入院が必要になる場合もあります。また、common diseaseと似た症状で発病したけれども別の病気であることが分かり入院となる場合があります。例えば、川崎病、髄膜炎、腸重積などです。これらの病気は頻度の高い疾患ではありませんからcommon diseaseとは呼べませんが、common diseaseと全く無関係な疾患ではありません。common diseaseの隣にある周辺疾患と考えられます。
小児科医の大切な役割は、common diseaseが重篤になっていないかどうかを判断すること、そしてcommon diseaseのなかに紛れ込んでくる周辺疾患ではないかを見極めること、これらの疾患の病状に応じて適切な治療を行うことです。
病診連携
common diseaseの診療は、開業の先生のところで行われることも多いと思いますが、経過が長引くなど合併症の心配のある場合や、他の疾患が疑われる場合などには、当科にご紹介いただいています(病診連携)。当科では、このようなcommon diseaseとその中に紛れ込んでいる周辺疾患に対して地域で開業されている先生方と協力して診療を行っています。
当科で入院治療を行う主なcommon diseaseとその周辺の疾患
- 呼吸器疾患 肺炎、細気管支炎(RSウイルス感染症)、クループ症候群、重篤な咽頭炎・扁桃炎・中耳炎、気管支ぜんそく発作
- 消化器疾患 ウイルス性腸炎、細菌性腸炎などの感染性腸炎、周期性嘔吐症(ケトン性嘔吐症) 腸重積、肝炎
- 神経疾患 熱性けいれん、けいれん重積(けいれんが長く続く状態)、髄膜炎・脳炎・脳症
- 腎・尿路疾患:詳細は次項を参照してください、
- その他の病気 川崎病、麻疹、百日咳、水痘、伝染性単核症など
2.腎・尿路疾患
急性腎炎、急性腎不全など急性期の疾患から、慢性腎炎、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、先天性腎尿路疾患、 遺伝性腎疾患など慢性期の疾患を含む全ての腎疾患に対応します。 また、以下のような場合にも対応します。
- 学校検尿にて異常を指摘された場合の精査、診断、治療
- 他病院からの腎生検の依頼
- 他病院からの難治症例の受け入れ
- 慢性腎不全となった場合の透析、腎移植などの治療
- 他病院にかかっているが、専門医の意見が聞きたい場合(セカンドオピニオン) ※経過の把握のため紹介状が必要です
腎生検について
腎生検を安全に行うため入院にて行います。約6日間の入院となります。 通常、超音波ガイド下にて行います。低年齢の小児では体を動かしてしまう危険があるため全身麻酔(眠っている状態、自発呼吸はある状態です)にて行います。 高年齢の小児では局所麻酔(意識はあり、触られているのはわかるがほとんど痛みは感じない)にて行います。
・当院小児科での年間腎生検数:約40~50例
透析について
小児の末期腎不全では本来、腎移植が望まれます。しかし、移植腎の不足から透析療法を余儀なくされる患児が多いのが実情です。 透析療法には血液透析と腹膜透析があります。 小児では簡便さ(家庭での透析が可能)、苦痛の少なさ(透析のたびに針をさすことはありません)、 食事制限の緩さ、循環動態への影響が比較的緩やか(血液透析に比べ心臓への急激な負担が少ない) などの理由から腹膜透析が選択されることが多くなっています。
・当院小児科での透析患者数:約12~18例
腎移植について
当院では、泌尿器科、小児科が連携し小児腎移植に当たっています。 毎週、検査技師等のコメディカルスタッフも含め腎移植カンファレンスを開催し、より質の高い腎移植を目指しています。
・当院小児科での移植患者数(移植時年齢18歳以下):約112例
3.予防接種
定期接種のワクチン
- インフルエンザ菌b型(Hib)ヒブワクチン
- 小児肺炎球菌ワクチン(プレベナー)
- B型肝炎ワクチン
- ロタウイルスワクチン(ロタリックス)
- ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオワクチン 四種混合(DPT-IPV)
- 麻疹・風疹混合(MR)ワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン
- ジフテリア・破傷風(DT)ワクチン
- 日本脳炎ワクチン
- 水痘(みずぼうそう)ワクチン
- ヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頸がん予防ワクチン) :サーバリックス、またはガーダシル
- BCG(2018年10月~2019年9月までは名古屋市の各保健センターでも接種可能です)
*当院は名古屋市の定期接種契約医療機関です。
*名古屋市にお住まいの方で、定期接種の対象年齢に該当される場合は、無料でワクチンを受けることができます。
*名古屋市外にお住まいの方や、名古屋市にお住まいでも対象年齢を外れた場合は、有料(任意接種扱い)となります。
*当院は愛知県広域予防接種協力医療機関です。(事前にお問合せください、在庫のお取り寄せが必要となります)
任意接種のワクチン
- おたふくかぜワクチン
- インフルエンザワクチン
- 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)
- BCG(*1歳を超えた場合は任意接種扱いとなります)
- 破傷風トキソイド
- A型肝炎ワクチン
*ご希望の方(成人を含む)を対象にして、有料でワクチンを接種しています。
*名古屋市民の方は市からの助成により、自己負担額が少なくなる予防接種があります。(助成には年齢制限があります)
予防接種外来
毎週月曜、毎週火曜、毎週金曜の14時30分~15時30分(BCGは14時00分~14時30分)に小児科の外来で予防接種を行っています。
予防接種情報の詳細はコチラをご覧ください(PDF)
4.小児神経疾患
てんかんを中心とする小児の神経疾患については、毎週火曜午後に小児神経の専門医による診療を行っています。 神経筋疾患による慢性呼吸不全に対する在宅人工呼吸療法、在宅酸素療法については個別に診療を行っています。
5.小児アレルギー疾患
気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの小児アレルギー疾患については、午前の一般外来と金曜午後のアレルギー外来で診療を行っています。
6.川崎病
川崎病については、当院小児科と小児循環器科が協力して診療を行っています。
7.内分泌・代謝疾患、染色体異常
糖尿病、成長ホルモン分泌不全性低身長症、先天性副腎過形成などの内分泌・代謝疾患、ダウン症候群などの染色体異常には個別に対応しています。 低身長の検査入院(2泊3日)を行っています。
8.新生児疾患
当院産科で出産された新生児のなかで、治療が必要な新生児(呼吸障害、低体重、早産、黄疸、嘔吐などのある新生児)に対して入院治療を行っています。 新生児の障害が予想される場合には、小児科医が出産に立ち会います。
9.新生児・乳児健診 その他
- 当院産科で出産された正常新生児の診察を小児科医が行っています(生後1日、4日、1か月健診)
- 9~10か月健診などの乳児健診は、ご希望の方すべてを対象に実施しています
- 早く生まれた赤ちゃん(早産児)や、ダウン症、免疫不全をともなう乳幼児に対して、RSウイルス感染予防のためにシナジスの投与を行っています
その他
院内学級
腎疾患などの慢性の病気では入院が長期となることがあります。そのため、当院では院内学級(小学部、中学部)を併設しています。院内学級についてはこちら
病棟保育士
病棟には専属の保育士が1名在籍し、入院している子供に遊びや楽しみを提供する保育士業務を行っています。また、季節ごとに各種の行事(ひな祭り、七夕会、クリスマス会など)を開催しています。
医師スタッフ紹介
小児科の医師・スタッフ紹介はこちらからご覧ください。
外来担当医表
小児科の外来医師担当医表一覧はこちらからご覧ください。
当科の学会施設認定
- 日本小児科学会 専門医研修施設