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産婦人科

中京こどもハートセンターにおける産婦人科の役割

1.胎児心疾患における役割
心疾患のある赤ちゃんに対する治療は、お母さんのお腹の中にいる時から始まります。妊婦健診は母児の健康管理のためのものですが、心疾患の赤ちゃんにおいては特に慎重に、発育の経過や心臓以外の疾患の有無等を見ていく必要があります。産婦人科が妊婦健診で得た情報は全て、小児循環器科との毎週のカンファレンスで共有しています。それらの情報をもとに、各々の赤ちゃんの状態を踏まえて心疾患治療に最も適切な出生時期を決定していきます。このため、胎児心疾患のお母さんの多くは計画分娩が必要となります。

重症の心疾患の場合には、赤ちゃんへの分娩のストレスを避けるために帝王切開術を選択する場合もあります。心疾患の赤ちゃんは出生後の短期間の内に手術を受けることがあります。手術を安全に行うには十分な体重が必要なため、赤ちゃんの発育が停滞している場合はお母さんに管理入院をして頂くこともあります。このような入院は、正期産(37週以降)に達しても、赤ちゃんが十分な大きさになるまで継続されます。分娩は、小児循環器科医師立ち会いの元で行われます。赤ちゃんは出生後直ちにNICCU(Neonatal Intensive Cardiac Care Unit : 新生児心臓治療室)に入室し、小児循環器科医により心疾患の最終的診断が確定されます。

このように、先天性心疾患の赤ちゃんを安全に治療へと導くには、出生前からの綿密な診断・管理が必要です。中京こどもハートセンターの重要な支柱である「胎児心臓病ネットワーク」では、多くの関連病院、クリニックから胎児心疾患が疑われる患者さんを紹介して頂いています。中には、明らかな異常所見でなくとも紹介して頂いたお陰で、心疾患の診断に至った例もあります。より多くの胎児心疾患のスクリーニングをすることが全ての赤ちゃんを守ることに繋がると考え、当院への患者さん紹介のハードルは可能な限り低くするよう努めています。幸いに紹介患者さんに異常が無かった場合は、紹介元の医療施設にお戻り頂き、安心して分娩に臨んで頂いています。

今後も県内外の周産期施設との連携を深め、「念のため」「気軽に」患者さんを紹介して頂くことで、先天性心疾患の確実な胎児期発見に基づいた、完全な周産期管理を目指していきます。

2.成人先天性心疾患における役割
先天性心疾患の治療の発展とともに、成年に達する患者さんが増えています。喜ばしい事ですが、女性患者さんにおいては、月経や排卵、更には妊娠・出産という女性特有の生理現象で注意すべき問題が起こる事があります。

出血に対する治療
月経や排卵は、子宮および卵巣での出血を伴う生理現象です。通常はすぐに収まりますが、成人先天性心疾患の患者さんは抗凝固剤を服用されることが多く、これらの薬の作用により出血量が増えてしまう事があります。通常、月経量や排卵のコントロールには、2種類の女性ホルモンからなる薬剤(いわゆるピル)を使用しますが、女性ホルモンには血液を固まり易い状態にする副作用があり、抗凝固剤を服用中の患者さんには一般的な方法で投与することはできません。

そのため、以下のような副作用を低減した治療方法を採る必要があります。
① 女性ホルモン1種類(プロゲスチン)のみの服用
② プロゲスチン内包器具(避妊リング状の物)の子宮内挿入
しかし、薬剤治療でコントロール不可能な多量出血の場合、子宮摘出や卵巣摘出などの外科的治療を余儀なくされる場合もあります。

妊娠・出産に対する治療
妊娠により体を循環する血液量は妊娠9か月目まで増加し続け、それに伴い心臓への負担も大きくなります。成人先天性心疾患の患者さんは、妊娠継続に十分な心機能を有しているかどうかを、妊娠前に診断してもらう必要があります。妊娠継続が可能な場合でも、正期産(37週以降)まで耐えられる心機能であるかどうかは患者さんによって異なります。

殊に最重症型であるフォンタン循環の方では、当院よりさらに高次の周産期・循環器治療機関への紹介が必要です。このような患者さんは、通院可能な期間は当院で健診を行い、以後は出産まで高次機関での入院となります。当院での出産の場合も、循環器科・小児循環器科と相談しながら分娩時期を決めていきます。分娩様式に関しても、心臓への分娩のストレスを回避するための帝王切開術や無痛分娩を選択する場合があります。

今後、成人先天性心疾患の患者さんはさらに増えていくと考えられます。こうした患者さんの、新生児期・小児期から成年期までの人生の全過程に亘るサポートに努めていきます。

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