形成外科 褥瘡、難治性潰瘍

診療・各部門

難治性潰瘍

難治性潰瘍は治療に抵抗する慢性潰瘍の事です。
難治性潰瘍のうちで一番多くみられる褥瘡は麻痺で寝たきりや歩行障害のある患者さんなどに多くみられます。褥瘡以外の難治性潰瘍の原因としては、外傷、糖尿病および末梢動脈閉塞症、放射線潰瘍、静脈うっ滞などが挙げられます。当院では様々な原因の難治性潰瘍の診療に携わっていますが、代表的に扱っている褥瘡、糖尿病性潰瘍についてお話をさせていただきます。

☆褥瘡

①発生原因

褥瘡は‘床ずれ’とも呼ばれ、身体の骨突出部に荷重がかかり、圧迫されることによって局所の血流が悪くなり、その部位の組織が壊死に陥って生じます。麻痺や老衰、活動低下によって自身で体位変換が不可能な患者さんによく見られます。褥瘡発生までの時間はそれぞれ異なりますが、通常圧迫の時間を2時間以内にとどめれば発生を予防できるとされています。

②治療

当院での治療方針は保存的治療か外科的治療かを選択するか、また保存的治療ではどのような皮膚潰瘍治療剤や創傷被覆材を使用するかを決定します。

保存的治療

適切な保存的治療で治癒する褥瘡も多いため、明らかな骨露出を伴うような重度の褥瘡以外は保存的治療を行います。
また、基礎疾患によって全身状態が良好でなく、手術が不可能な場合は保存的治療を選択します。
まず基本は、褥瘡部への荷重を軽減して血流を改善させる事が重要です。一定の時間毎に体位変換を行い褥瘡がベッドに長時間接触しないようにしたり、エアーマット、高機能マットレスを使用し圧を分散させ、創への圧迫の軽減を図ります。また、患者さんの栄養状態を改善する事も重要です。
最近、多くの皮膚潰瘍治療剤や創傷被覆材が開発されていますが、こういった物を使用しながら、創の状態に合わせて適切な治療を行います。

外科的治療

手術法は患者さんの基礎疾患とその疾患の将来の回復の見込み、年齢、合併疾患の有無(糖尿病、動脈硬化症、肥満)、麻痺の有無、全身状態、リハビリテーション、褥瘡の大きさなどを総合的に考慮して、術後再発が少なく患者さんへの肉体的負担の少ない方法を選択します。
こういった中で保存的治療のみでは十分な効果を得る事ができない重度の褥瘡の場合に手術法を選択します。
手術をする場合には壊死した組織の切除術や植皮術などで褥瘡閉じる手術を行っています。部位や程度によって手術法は異なりますが、仙骨部の褥瘡には臀部の筋肉を移動させて褥瘡のポケットを閉じる手術も一般的な治療法として行っています。

☆足潰瘍

①発生原因

足潰瘍になる一番多い原因は糖尿病と末梢性動脈閉塞症(PAD)という病気です。どちらも下肢の主要な動脈の壁が変性して硬くなる事から下肢へ血流が悪くなり、皮膚や足指が壊疽に陥る事があります。また糖尿病は末梢神経障害によって感覚が麻痺している事が多いため外傷などで傷ができても痛みを感じにくい場合があります。そのため安静が取れず、治療が遅れ2次感染を起こす事も潰瘍の発症原因の一つです。

②治療

足潰瘍の治療は全身的管理を行いながら局所治療をすることが重要です。

全身的管理

全身的管理で重要な事は糖尿病の管理、感染症の治療、循環の改善です。 当院ではこのような全身的管理を総合的に行う事ができます。
糖尿病の管理は内分泌代謝科で血糖コントロールを行い、感染の治療のためには抗生剤を含んだ軟膏や、抗生剤の投与など行います。循環の改善は血管外科や腎透析科で動脈のバイパス術や血管拡張術を行います。

局所管理

創部の局所管理は全身的管理と同時に形成外科で行っております。
局所管理は創部の免荷、安静を保ちながら適切な被覆材などを使用し、創部を保護します。またうじ虫に創部の壊死組織を食べさせるといううじ虫治療なども行っております。これらで治らない場合は壊死組織を除去する手術や腱や骨が露出した時に行う皮弁移植術も行っております。
これらの治療を多くの科の医師や看護師がチームを作って行う事によってできるだけ下肢の長さを残すようにして、歩行が可能な状態を保つ事を目標に日々診療をしております。