診療・各部門
臨床工学部
臨床工学部とは
臨床工学部は26名の臨床工学技士が在籍している部署です。
臨床工学技士とは、生命維持管理装置をはじめとした医療機器の操作や、医療機器がいつでも安全に使用できるように保守点検などを業務として行っています。
私たち臨床工学技士は高度医療を支える医療機器のスペシャリストとしてチーム医療の一員を担っています。
業務範囲は多岐に渡りますが、主に医療機器管理業務、血液浄化業務、心臓カテーテル室業務、ペースメーカー関連業務、手術室業務などです。
業務内容
1.医療機器の運用管理・安全管理
医療機器の運用と安全管理は、患者さんの安全を確保する上で大変重要です。当院では所有する約7000台の医療機器を安全に使用できるように、医療機器管理システムを用いて保守管理しています。
主に医療機器の点検計画立案と実施、使用後点検、使用中の人工呼吸器や補助循環装置などの使用中点検などを行うことで医療機器が安全に使用できるように努めています。
また、常に安全な医療を提供するには適正な使用方法を医療従事者が理解している必要があります。 院内のスタッフが理解を深めることができるように、輸液ポンプやシリンジポンプ、 人工呼吸器など様々な医療機器の勉強会を院内で開催しています。
2.血液浄化業務
透析センターでは、腎不全の患者さんに対して血液中の水分や不要な物質を取り除く血液浄化療法を行っています。
透析センターにて臨床工学技士は看護師と共に治療開始の穿刺から治療中のバイタルチェック、終了までの患者さんへのケアを行っています。また、透析関連機器(水処理装置、透析液供給装置、透析用監視装置等)の保守管理も担っています。
特定の疾患において、その原因物質を体内から除去する特殊血液浄化療法と呼ばれる治療でも準備、開始から終了までのすべてに臨床工学技士は携わっています。
また、重症な患者さんに血液浄化療法を要する場合は、ICUなどの集中治療室でも行っています。
3.心臓カテーテル室業務
心臓カテーテル室では心筋梗塞や狭心症の患者さんに冠動脈造影検査や治療を、不整脈を持つ患者さんには電気生理学的検査やカテーテルアブレーションと呼ばれる不整脈カテーテル治療を行っています。
また、当院では小児循環器科による新生児や先天性心疾患に対する術前の診断や術後評価の検査、そして様々なカテーテル治療も行っています。
臨床工学技士はそれらの検査・治療中に様々な機器を用いた計測や解析を担当しており、検査や治療の一部を担っています。
4.ペースメーカー関連業務
徐脈性不整脈(脈拍が遅い不整脈)に対してはペースメーカーが、心室細動・心室頻拍といった突然死の原因となるような頻脈性不整脈(脈拍がはやい不整脈)には植込み型除細動器(ICD)、 そして重症心不全を伴う症例では心臓再同期療法(CRT-P、CRT-D)が適応となります。これらの機器の植込み手術の際には臨床工学技士が手術に立ち会い、機器の準備や操作を行っています。
手術後は植込み型機器が入った患者さんのための専門外来であるペースメーカー外来や遠隔モニタリングにて、電池残量、機器本体やリード線の異常がないか、不整脈や心不全の状況などを確認し、その都度、患者さんの状態に合わせた設定の見直しなどを医師と共に行っています。
また、ペースメーカーを始めとした植込み型心臓電気デバイスが入った患者さんがCT撮影やMRI撮影を行う時や緊急入院、手術を行う際にはチェックや設定変更に対応出来るようにしています。
5.手術室業務
手術室内には数多くの医療機器があり、それらを駆使して日々の手術が行われています。
臨床工学技士は心臓や大血管などの手術の際に心臓と肺の機能を一時的に代行する人工心肺装置や、術中自己血回収装置、機械的補助循環(ECMO、IABP、Impella®など)の準備や操作を行っています。当院の体外循環症例では主に新生児や小児を行っています。
その他に泌尿器科、外科、産婦人科では手術支援ロボットdaVinci®を用いたロボット支援手術時のセッティングや術中のサポート、脳神経外科領域では脳腫瘍や脊椎手術に対する神経刺激装置を用いた術中モニタリングやナビゲーションの操作などを行い、安全で円滑な手術をサポートしています。
また、当院の臨床工学技士は2024年4月から施行となった医師の働き方改革に伴い、従来は研修医が務めることの多かった腹腔鏡下手術の際のスコープオペレーター業務も開始しております。