診療・各部門
脳腫瘍とは
脳腫瘍には脳細胞や脳を包む膜から発生する「原発性脳腫瘍」と、脳以外から発生したがんが脳に転移する「転移性脳腫瘍」とに大きく2つに分けられます。「原発性脳腫瘍」は更に脳実質内から発生したものと、脳実質外(脳を包む膜など)から発生したものに分けられ,その発生頻度は1万人に1人程度と言われております。「脳腫瘍」と聞くと怖いイメージがありますが、すべてが悪性腫瘍なわけではありません。脳腫瘍には良性から悪性までさまざまな種類があり、おおよそ150種類に分けられ、その治療および予後は種類によって様々です。
当院における脳腫瘍の診断と治療について
前述のように脳腫瘍には様々な種類があり、治療法もそれぞれ異なるため、正確に診断する必要があります。CT, MRI,脳血管撮影などの検査である程度の予測はつきますが、正確には組織を採取(手術)して最終診断を行う必要がある事が多いです。病理診断は時には難しい事もありますが、当院では経験豊富な病理医により術中迅速診断、最終病理診断が行えます。
手術による摘出及び組織診断を行うことにより
- ①脳腫瘍の正確な診断が行えます。
- ②良性腫瘍では、全摘出を行うことにより完治が期待できます。
- ③悪性腫瘍においても、腫瘍の量を減らすことにより、症状の軽減や放射線治療などの追加治療の効果が高まることが期待できます。
当院では良性脳腫瘍から悪性脳腫瘍までさまざまな脳腫瘍に対する治療を行っています。手術が必要な場合においては、年齢や全身状態を考慮して手術方法や切除範囲を決定することにより、症状を悪化させずにできるだけ腫瘍を取り除く手術をこころがけています。さらに、手術をより安全に行うために、術中電気生理学的モニタリング、ナビゲーションシステム、術中蛍光診断、といった最新の機器を用いています。悪性腫瘍であった場合は、術後に放射線科と協力して放射線治療を行ったり、他科と連携しながら抗がん剤の治療を行ったりしています。また、近年では、出来るだけ低侵襲に腫瘍を摘出する事を目的として、小開頭にて内視鏡下に脳腫瘍摘出・生検術も行っており、従来の開頭による方法に比べて術後の回復も早くなってきています。
また、下垂体腫瘍に対しては内分泌内科医と連携をとりながら、治療に取り組んでおり、手術は神経内視鏡及びナビゲーションシステムを用いて、身体への負担が小さい経鼻的摘出術を行っています。
当院における脳腫瘍の治療実績について
令和3年度の脳腫瘍の手術件数は32件でした。毎年、良性・悪性合わせて40件前後の手術を行ってきています。当院では神経内視鏡専門医が4名常勤として在籍しており、先述した内視鏡を用いた低侵襲な手術の割合が増えてきております。