心臓血管外科

診療・各部門

心臓血管外科のご紹介

 中京病院心臓血管外科は、1982年(昭和57年)1月に始まり、約30年以上にわたり手術を行ってまいりました。年々手術件数は増加傾向にあり、2012年(平成24年)には年間349件の手術を行うに至りました。このうち心臓や大血管の手術は329件で、約7割が先天性心疾患の手術、約2割が後天性心疾患、胸部大動脈の手術、約1割が不整脈に対する手術でした。

このように当院心臓血管外科の特徴は、
 1)心臓移植を除いた全ての心臓・大血管の疾患の手術に対応していること、
 2)年齢も新生児から80歳以上の高齢者の手術にも対応していること、
 3)先天性心疾患の割合が多いこと、
 4)歴史が古いため小児期に手術を受けられた患者さんが成人に達した後に生じてきた病変に対する手術の割合も多いこと、
 5)総合病院であるため新生児から高齢者まで心臓以外の病気を合併された患者さんでも院内各科の連携で治療が完結できること
が挙げられます。

 これらの特色を生かし、平成25年4月からは、「中京こどもハートセンター(CCHC)」を設立しました。関連各科の連携をより一層密にして、出生前の胎児期から治療の計画をたてていき、さらなる成績の改善を目指して参ります。また、新たに「成人先天性心疾患外来」を開き、成人期に達したのちの先天性心疾患の患者さんを長期にわたり、安心して生活していけるようにサポートさせていただく体制を整えました。

 これにより、平成23年4月に開設した「循環器病センター」とともに、3本柱となり、後天性心・大血管疾患を「循環器病センター」にて、小児期先天性心疾患を「中京こどもハートセンター(CCHC)」にて、成人期先天性心疾患を「成人先天性心疾患外来」にて診療を行い、その全てに心臓血管外科としても治療にかかわっていき、それぞれ専門的な医療を提供してまいります。

対象疾患

基本的に心臓移植を除いた、心臓・大血管の全ての疾患を対象として手術を行っています。

 対象疾患は、 先天性心疾患(新生児~高齢者)、後天性心疾患(虚血性心疾患、弁疾患など)、胸部大動脈疾患、不整脈などです。
また、血管疾患については、心臓血管外科では主に胸部の大動脈を扱っており、腹部大動脈や末梢血管の疾患は、当院の「外科」内の「血管外科」で診療を行っております。

治療方針と内容

基本方針

 手術というのは、人体に傷をつけて行う治療である以上、どのような手術であっても多かれ少なかれある程度の危険性は避けられません。そのような治療を行う者として、私たちが第一に、最優先で重要視していることは、いかに安全に手術治療を行っていくか、ということです。

 一つ一つの手術は、数多くの細かい手順の積み重ねから成り立っています。いろいろな手術の中でも、とくに複雑で、細かい手順の多い心臓・大血管の手術では、様々な職種の多くのスタッフが関与しており、一つ一つの手順をスタッフ全員が着実にこなしていくことの積み重ねが非常に大事になってきます。個々の単純な手順でも一つ間違えば大きな危険性が潜んでいることもあります。

 そうであるからこそ、心臓・大血管手術チーム全体としての経験数や熟練度が安全性に密接に関連してきます。いかに個々の手順の影に潜んでいる様々な危険性を事前に予測し、より安全な方法をとることができるか、そのためには各手術で共通した手順は、なるべく同じチームで、なるべく多く経験し、いつも通りの決まった手順でこなしていくことが重要になってきます。

 少しでも安全に手術を行い、少しでも良い結果になるように、これまでの長年の経験の蓄積をスタッフで共有し、循環器科、小児循環器科などの関連各科や部署と協力しながら、診断はもちろん詳しい病状の把握、治療方針の決定、手術の方法、術後の管理、治療後の評価に至るまで、一つ一つのステップを着実に行い、少しでも危険性をゼロに近づけていきたいと考えています。 安全性の次に大切にしているのは、より有効な、より利点の多い、できるだけ質の高い手術を行う、ということです。

 心臓や大血管のみに限っても様々な疾患があります。同じ疾患でも進行具合により重症度も異なります。一つの疾患に対してもいろいろな手術方法があります。当然、結果として多くの手術方法の選択肢が考えられます。一方では、患者さんの年齢や体格はまちまちであり、心臓・大血管以外にも病気をかかえておられることもしばしばです。それらを考慮した上で、とりうる選択肢の中で、優先順位をつけていかなくてはなりません。もちろんそれは、一旦決めたら終わりというものではなく、病状の経過により、極端な場合手術の最中に心臓の状態によって別の選択肢に臨機応変に変更しなければならないこともあります。

 とくに先天性心疾患は、年間約200件くらいの手術を毎年行っていても数年に一度程度しか経験しない稀な疾患や手術が多くあります。あるいは病状が重くて大変危険な状態で手術をしなければならない場合もあります。それら患者さん一人一人の状態にあわせて、これまでのチームとしての多くの経験を生かしつつ、あわせて最新の情報と技術を取り入れることも怠らないようにして、関連各科、各部署と討議しながら少しでも良い結果となるようにしていきたいと考えています。

診療体制

 常勤の6~7名の医師が分担して診療をおこなっています。 平日は、手術を1日に1~2件、ほぼ毎日主として午前中の外来、回診は休日も含めて毎日行っています。また、原則として24時間、365日、病院内に1名は心臓血管外科医が待機しており、手術後の管理や病状の急な変化に対応できるようにしています。

治療実績(2017年)

全手術件数 : 325件
内訳(重複なし)
  • 先天性心疾患に対する手術 241件
  • 虚血性心疾患に対する手術 23件
  • 弁膜症に対する手術 23件
  • 大動脈に対する手術 13件
  • ほかの心血管手術 13件
  • その他の手術 12件

体外循環を使用した手術は、325件中270件だった。
新生児手術例が多く、結果的に重症例が多いのも当院の特徴で、新生児手術例は44件だった。

術式別件数
先天性心疾患に対する手術
  • 心室中隔欠損孔閉鎖術 34件
  • 心房中隔欠損孔閉鎖術 18件
  • 肺動脈絞扼術 20件
  • 体肺動脈短絡術 14件
  • Glenn手術 18件
  • Fontan手術 11件
後天性心疾患に対する手術
  • 冠動脈バイパス術 23件
  • 弁形成術 18件
  • 弁置換術 16件
  • 大動脈人工血管置換術 13件

より詳細な診療実績は「中京こどもハートセンター(CCHC)」よりご覧ください。

医師スタッフ紹介

 心臓血管外科の医師・スタッフはこちらからご覧ください。

外来担当医表一覧

 心臓血管外科の外来担当医表一覧はこちらからご覧ください。

当科の学科施設認定

・心臓血管外科専門医認定機構基幹施設
・日本胸部外科学会認定医認定制度指定施設
・日本外科学会外科専門医制度修練施設
・日本胸部外科学会 教育施設協議会教育指定施設
・ステントグラフト実施施設(胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤)