がん診療のトピックス

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がんの免疫療法

 私たちの体には異物の侵入を防いだり、侵入してきた異物を排除したりして体を守る抵抗力が備わっています。この仕組みを「免疫(めんえき)」といいます。「がん」についても同様に、その排除に免疫の働きを利用する治療法があり、これらを「免疫療法」といいます。これまでの免疫療法では、免疫機能の攻撃力を高める方法が中心でしたが、最近、がん細胞が免疫のはたらきにブレーキをかけて、免疫細胞の攻撃を阻止していることがわかってきました。そこで、がん細胞によるブレーキを解除することで、免疫細胞の働きを再び活発にしてがん細胞を攻撃できるようにする新たな治療法が最近注目されています。

 がん細胞は、自分を攻撃するTリンパ球のはたらきを弱まる、特定の受容体(receptor; レセプター、たとえばPD-1)に、特異的に結合する物質(ligand; リガンド、たとえばPD-L1)を結合させる事でTリンパ球のはたらきを抑えています。このリガンドと受容体の結びつき=ブレーキにあたる部分を「免疫チェックポイント」と呼び、その阻害する薬(免疫チェックポイント阻害薬)が実際の治療で使用されるようになってきました。

詳しく知りたい方は、国立がん研究センターホームページをご覧ください。
[免疫療法 もっと詳しく知りたい方へ:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]](https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html)

 種類 方法  使用される薬の種類   
免疫チェックポイント阻害剤      体内の免疫(T細胞など)の活性化を持続する(ブレーキがかかるのを防ぐ)方法     PD-1阻害剤 ニボルマブ(オプジーボ) 悪性黒色腫
非小細胞肺がん
腎細胞がん
ホジキンリンパ腫
頭頚部がん
胃がん
ペンブロリズマブ(キイトルーダ) 悪性黒色腫
非小細胞肺がん
ホジキンリンパ腫
尿路上皮がん
PD-L1阻害剤  アベルマブ メルケル細胞がん
アテゾリズマブ 非小細胞肺がん
CTLA-4阻害剤 イピリムマブ(ヤーボイ) 悪性黒色腫
サイトカイン療法 体内の免疫を強める(アクセルを強める)方法  インターフェロン アルファ(胃がん)
インターロイキン2(腎がん)
インターロイキン ガンマ(菌状息肉症、セザリー症候群)
ペグインターフェロン アルファ2(悪性黒色腫)
インターフェロン ベータ(悪性黒色腫)
その他 免疫賦活剤(BCG:膀胱がん)
免疫賦活剤(ピシバニールなど)