救急科

診療・各部門

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はじめに

救急科は救急専門医で構成される診療科として平成3年に開設されました。3次救急医療,院内急変,災害時医療を担当しています。重症救急患者に救急科が中心となって対応する第3次救急医療施設として機能しています。特に熱傷に関しては国内では10年以上にわたり最多の患者数を診察・治療しています。

対象疾患/治療内容

重症救急疾患の初期診療

救急隊が現場で重篤と判別した救急患者は救急科外来当番医に直通で連絡(ホットライン)が入り,搬入後の救急外来では救急専門医による救命救急処置が実施されます。緊急の開胸・開腹,大動脈遮断バルーン,PCPSなどが迅速に実施できるよう準備されています。

重症外傷

重篤な外傷は呼吸・循環・中枢神経系に致死的な影響を及ぼすため,外傷そのものだけでなく全身の病態を診断・治療する必要があります。特に外傷が複数部位に及ぶ場合,病態診断・緊急処置の優先順位判断が極めて重要となります。このような視点で訓練された救急専門医が初期診療を確実に実施し,関連する専門医と連携をとって治療にあたっています。なかでも腹部内臓損傷・骨盤骨折に対する緊急治療的カテーテルは実施例が多く,治療成績を挙げています。

広範囲熱傷

熱傷センターを有し,古くから東海地方の熱傷患者の治療にあたってきています。広範囲熱傷,気道熱傷,基礎疾患を有する熱傷患者は救急科が急性期の治療を担当します。2020年度に救急科が担当し熱傷センターに入院した重傷熱傷患者数は50人でした。重症熱傷患者は救命救急センター内の熱傷専用病床あるいはICUに入院し,救急科を中心に,形成外科・腎透析科・看護師・理学療法士・栄養士との連携のもと,一貫した治療計画に基づく管理が行われます。初期の循環管理,気道熱傷をはじめとする呼吸管理,敗血症の管理に力を入れて実績をあげています。手術は週1回の形成外科とのカンファレンスのなかで議論・計画され,合同チームによる短時間の手術が実践されています。愛知県内だけでなく、三重・岐阜・静岡からの収容依頼にも対応して治療成績を挙げています。

その他の対象疾患

急性中毒,来院時心肺停止例,敗血症

院内急変

院内の入院・外来患者が急変した際の救命処置に救急科が積極的に関与することで病院の医療安全面に貢献しています。急変の察知,院内連絡,発見者の蘇生・救命処置,治療の引き継ぎなどの手順を体系化し,職員を対象とする講習会で実践・学習しています。

集団災害

当院の災害対応の特色は,災害規模に応じた3ランクの対応体制を用意。災害医療の指揮可能な「災害時コアメンバー」を設定しておき,災害時には「災害時カルテ」を用いた全員参加型の災害医療を行うことです。 一方,被災地への医療チーム派遣のためDMATを2チーム有しています。 2018年9月に発災した新日鐵名古屋製鉄所火災事故ではDMAT1隊を現場に派遣するとともに,熱傷専門施設として熱傷/気道熱傷患者(赤タッグ4名,緑3)の7名を収容しました。

2021年度より災害医療センターを増設し、さらに災害対応に力を入れて取り組んでいます。

医師スタッフ紹介

救急科の医師・スタッフ紹介はこちらからご覧いただけます。

当科の学会施設認定

日本救急医学会 救急科専門医指定施設

日本熱傷学会 熱傷専門医研修認定施設

日本外傷学会 外傷専門医研修施設

後期研修

救急の基幹病院として後期研修医を募集しています。
救急科専門研修プログラムはこちらからご確認ください。
ご興味のある先生はsenmoni@chukyo.jcho.go.jpまで、ご連絡ください。

その他

熱傷治療の修得を目指す救急医の募集 手術を含めた熱傷治療の修得を目指される救急医の方を募集しています。常に3~4名の重症熱傷患者の入院があり,比較的短期間での技術習得が可能です。研修期間は3か月から半年を基準としています。熱傷研修中は救急医としての臨床を兼務していただくため,3次救急の臨床経験が必要です。
業務はシフト制を組んでおり、働きやすい環境になっています。希望者の方は学会・論文等の学術活動の支援もさせていただいており、関連施設である大阪大学の大学院に進学していただくことも可能です。また、愛知県の救急を良くしたい救急医、名古屋で働いてみたい救急医も随時募集しています。ご興味のある先生はsenmoni@chukyo.jcho.go.jpまで、ご連絡ください。

業績

  1. Good recovery without decompression fasciotomy for crush syndrome caused by using a Japanese-style toilet. Osuka A, Miyao D, Kuge Y, Nakajima S, Kuroki Y, Ueyama M. Trauma Case Rep. 2021 Feb 10;32
  2. Impact of fecal short-chain fatty acids on prognosis in critically ill patients. Nakahori Y, Shimizu K, Ogura H, Asahara T, Osuka A, et al. Acute Med Surg. 2020 Aug 25;7(1)
  3. Chest physical therapy reduces pneumonia following inhalation injury. Kubo T, Osuka A, Kabata D, Kimura M, Tabira K, Ogura H. Burns. 2021 Feb;47(1):198-205.
  4. Comment on "volume-outcome relationship on survival and cost benefits in severe burn injury: a retrospective analysis of a Japanese nationwide administrative database" (Endo et al., Journal of Intensive Care 2019). Osuka A, Miyao D, Kuroki Y. J Intensive Care. 2020 Jul 8;8:47.
  5. 重症病態における腸管・腸内細菌叢と臓器(心・肺・腎)不全 大須賀章倫 ICUとCCU 2020 44(7):9-433
  6. 「小児熱傷」成人とどう違う? 黒木雄一 レジデント 2020 13(6): 55-62
  7. Natural kinetics of blood cells following major burn: Impact of early decreases in white blood cells and platelets as prognostic markers of mortality. Osuka A, Ishihara T, Shimizu K, Shintani A, Ogura H, Ueyama M. Burns. 2019 Dec;45(8):1901-1907.
  8. C1 Esterase Inhibitor Activity Is Reduced in the Acute Phase Following Burn Injury: A Prospective Observational Study. Matsuura H, Osuka A, Hirose T, Ogura H, Ueyama M, Shimazu T. J Burn Care Res. 2019 Oct 16;40(6):893-899.v
  9. Clinical Importance of a Cytokine Network in Major Burns. Matsuura H, Matsumoto H, Osuka A, Ogura H, Shimizu K, et al. Shock. 2019 Feb;51(2):185-193.
  10. 火傷・熱傷 中島紳史 小児科 2019 60(5): 784-790
  11. 手指熱傷創処置における作業療法士参加体制の拡大 工藤啓介, 中島紳史, 上山昌史 熱傷 2019 45(2): 45-50
  12. 外傷後の免疫応答:自然免疫と獲得免疫のバランスとその破綻 大須賀章倫 日本外科感染症学会雑誌 2019 16(3): 165-171
  13. 小児熱傷の疫学~小児熱傷は防げる!~ 黒木雄一 Visual Dermatology 2019 18(11): 1116-1120
  14. Glycocalyx Shedding is Enhanced by Age and Correlates with Increased Fluid Requirement in Patients with Major Burns. Osuka A, Kusuki H, Yoneda K, Matsuura H, Matsumoto H, et al. Shock. 2018 Jul;50(1):60-65.
  15. A Case Report pf Severe Potassium Hydroxide (Alkaline) Burn with Hyperkalemia. Hiroshi Matsuura, Akinori Osuka, Hiroshi Ogura, Masashi Ueyama and Takeshi Shimizu J Clin Case Rep. 2018 8(1)
  16. Indications of early intubation for patients with inhalation injury. Onishi S, Osuka A, Kuroki Y, Ueyama M. Acute Med Surg. 2017 Mar 6;4(3):278-285.
  17. Acute intestinal damage following severe burn correlates with the development of multiple organ dysfunction syndrome: A prospective cohort study. Osuka A, Kusuki H, Matsuura H, Shimizu K, Ogura H, Ueyama M. Burns. 2017 Jun;43(4):824-829.
  18. 小児の熱傷診療 中島紳史 小児救急2017 41(5): 668-674
  19. 高カリウム血症を呈した水酸化カリウム製剤による広範囲アルカリ熱傷 松浦裕司, 大須賀章倫, 上山昌史, 嶋津岳士 熱傷 2017 43(3): 47-52
  20. DIC-CTが有効であった鈍的外傷による総胆管完全断裂の1例 松浦裕司, 大須賀章倫, 上山昌史 日救急医会誌 2017 28: 156-160
  21. 腸管と腸内微小生態系の変化が重症病態に及ぼす役割 大須賀章倫, 米田和弘, 工藤大介, 清水健太郎, 小倉裕司 日救急医会誌 2017 28: 827-834
  22. 鎮痛・鎮静の実際 熱傷 黒木雄一 救急医学 2017 41(12): 1653-1657
  23. 気管支内視鏡 宮尾大樹 救急医学 2017 41(7): 788-794