診療・各部門
1.肺がんとは
肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。 進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れにのって転移することもあります。転移しやすい場所はリンパ節、反対側の肺、骨、脳、肝臓、副腎です。
2. 肺がんの診断と治療について
肺がんの診断に欠かせないのが気管支鏡検査です。小さな肺がんであってもより確実に生検できるガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(GS-TBLB法)、リンパ節の生検のための超音波気管支鏡下リンパ節穿刺法(EBUS-TBNA法)など、それぞれの患者さんに適した方法を計画し実施します。CTで位置を確認しながら、体表から針をさして生検するCTガイド下肺生検法(CT-NAB)を行うこともあります。 肺がんの治療法は進行度合いにより異なります。主に手術療法・放射線療法・がん薬物療法の3つからなり、複数の治療法を組み合わせる場合もあります。 肺がんの薬物療法は進歩し、最近では従来の殺細胞性抗がん剤に加え、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬などから、遺伝子異常や免疫分子の発現状況など、患者さん一人一人のがんの特徴に基づいて選択されるようになっています。 当院では、がん細胞増殖の原因となる遺伝子異常を見逃さず、患者さんにあった治療をもれなく届けることができるように、複数の遺伝子異常を同時に解析する遺伝子パネル検査を積極的に行っています。また、全国規模の肺がん遺伝子スクリーニングのための産学連携プロジェクト:LC-SCRUMに参加し、組織検体のみならず、血液検体を用いて解析を行い、治験へのリクルートメントを行っています。その他、がん患者さんを対象にした様々な臨床試験や新規抗がん剤の治験にも参加しています。
肺がん診療は高度・複雑化していますが、呼吸器外科・放射線科・病理診断科など複数科・多職種によるキャンサーボードを毎週開催し、最適な治療法を患者さんに提案できるよう努めています。
3. 肺がんの診断と治療の実績について
肺がん診断数
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
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146例 | 140例 | 143例 | 129例 | 129例 |
治療実績 2021年1月~12月
非小細胞肺がん | 小細胞肺がん | 悪性胸膜中皮腫 | 総数 | |
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のべ治療数 | 114例 | 38例 | 3例 | 155例 |
患者数 | 77人 | 19人 | 2人 | 98人 |