泌尿器科

診療・各部門

泌尿器科の紹介

 診療内容は、尿路の感染症・結石・悪性腫瘍や排尿障害といった泌尿器科における主要疾患から小児先天性異常や腎不全治療等に至る多くの領域をカバーしています。中でも腎移植医療は当科の特徴でもあり、1973年の全国的にも早期から開始しています。その他1988年体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、1992年腹腔鏡下手術、2012年前立腺癌密封小線源治療・ダビンチ手術を開始するなど、新しい治療にも積極的に取り組んできました。常勤医8名を有する名古屋南部の中核泌尿器科です。

主たる疾患と治療

1.悪性腫瘍

治療

 当院では泌尿器科領域の悪性腫瘍全般の治療を行っております。代表的な疾患としては、腎癌・尿路上皮癌(腎盂尿管癌膀胱癌・尿道癌)・前立腺癌・精巣癌などがあり、その他にも数は少ないですが、副腎がん・陰茎がん・尿膜管がん・後腹膜肉腫なども取り扱っています。

 悪性腫瘍の治療として、手術療法・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法・免疫療法などを行っており、手術としては腹腔鏡下手術や手術支援ロボットの「ダビンチ」を使った手術を積極的に行っております。

180528

手術支援ロボット ダビンチ Xi

 ロボット支援手術は手術支援用ロボットを術者が操作して行う腹腔鏡手術のことです。当院では2012年ダヴィンチSを導入し、同年10月から前立腺がんに対するロボット支援根治的前立腺全摘除術(RARP)を開始しました。その後2016年7月には腎がんに対するロボット支援腎部分切除術(RAPN)を開始しました。2018年1月には上記写真のXiに更新し、2019年9月からは膀胱がんに対するロボット支援根治的膀胱全摘除術(RARC)を開始しています。

2.尿路結石

 尿の通り道である腎臓(腎盂)・尿管・膀胱・尿道にできた結石を総じて尿路結石と呼びます。これらに対しては小さいものは薬物治療で排石されるのを待ちますが、結石が大きく自排石が困難な場合や結石が嵌頓(かんとん)して腎機能障害を生じている場合、疼痛や発熱が持続する場合などは、体外衝撃波結砕石術(ESWL)や内視鏡下手術(経尿道的腎・尿管砕石術(TUL)や経皮的腎・尿管砕石術(PNL))を行っております。危険な仕事に従事されている方や仕事が忙しくどうしても休みが取れずに早期の手術を希望される方には、手術枠が許せば受診当日や翌日での緊急結石破砕術等を行っています。

3.排尿障害

 排尿障害としては排尿困難・頻尿・尿失禁・排尿痛など多くの症状が含まれ、これらは種々の原因から引き起こされます。原因により治療法は様々ですが、男性の前立腺肥大症に対しては経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を行っております。また女性に多い腹圧性尿失禁(咳やくしゃみなど腹圧をかけたときに漏れること)に対してはスリング手術を行っています。

4.小児泌尿器科疾患

 先天性尿路疾患の患児の方も多く治療しています。尿路感染や腎機能障害の原因となる水腎症・膀胱尿管逆流・巨大尿管、造精障害の原因となる停留精巣、排尿障害や性機能障害の原因となる尿道下裂などが主な疾患です。また小児では頻度が少ないものの近年増加傾向にある尿路結石の治療にも力を入れています。 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的結石破砕術(TUL)や経皮的結石破砕術(PNL)の内視鏡下手術にも実績があり、県外からも紹介を受けています。小児の腹腔鏡手術も積極的に施行しており、水腎症の腎盂形成術、腹腔内精巣の陰嚢内固定術、萎縮腎や無機能腎などの摘除術のほか、2017年からは膀胱尿管逆流に対する気膀胱下逆流防止術も開始しました。

5.腎移植、腎不全外科

 当院では末期腎不全に対する根治療法である腎移植を1973年から開始し、2011年末までに生体腎移植349例、献腎移植160例を施行しています。また、腎不全患者に限らず副甲状腺機能亢進症に対する外科的手術や、小児の腹膜透析カテーテル留置術も当科で行っています。

 当院は名古屋市南区に位置し、古くから名古屋市南西部、尾張西部、知多半島の腎不全治療の中心的な役割を果たしてきたと自負しております。移植医療は手術だけでなく、術後長期にわたるきめ細かな経過観察が必要です。通院や夜間の発熱等の対応には近くの病院でよかったと思える場合が多々あるかと思います。

診療実績

主な術式の手術件数 2017年から2019年
項目 2017年 2018年 2019年
手術総数 861 900 903
腎移植術(生体/献腎) 5/0 9/5 4/3
腎がん 腎摘除術(開腹/腹腔鏡) 7/17 1/13 2/17
腎がん ロボット支援腎部分切除術(RAPN) 10 13 11
腎盂尿管がん 腎尿管全摘除術(開腹/腹腔鏡) 1/18 0/12 2/9
副腎腫瘍 副腎摘除術(開腹/腹腔鏡) 0/6 1/2 0/2
膀胱がん 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt) 87 122 136
膀胱がん 膀胱全摘除術(開腹) 9 5 12
膀胱がん ロボット支援膀胱全摘除術 (RARC) 0 0 2
前立腺がん ロボット支援根治的前立腺全摘術(RARP) 63 73 66
前立腺がん 密封小線源治療 29 27 9
精巣腫瘍 高位精巣摘除術 3 3 3
結石 体外衝撃波砕石術(ESWL) 78 85 77
結石 経尿道的腎・尿管砕石術(TUL) 114 113 97
結石 経皮的腎・尿管砕石術(PNL) 15 15 14
水腎症 腎盂形成術(開腹/腹腔鏡) 0/7 0/4 0/6
前立腺肥大症 経尿道的前立腺切除術(TUR-P) 52 47 40
尿失禁 尿道スリング手術(TVT) 1 1 1
尿管膀胱吻合術(逆流防止術を含む) 8 5 16
小児 停留精巣固定術 15 12 10
小児 尿道下裂形成手術 11 18 18
精索捻転手術 5 9 2

治療トピックス

 2012年から早期前立腺癌に対する治療として、小線源治療(ブラキセラピー)とロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術(ダビンチ手術)を導入しました。小線源治療は名古屋市内で名古屋大学、愛知県がんセンターに続く3番目の施設となり、ダビンチ手術も名古屋市内で名古屋大学・名古屋市立大学に続く3番目の施設となりました。 

医師スタッフ紹介

 泌尿器科の医師・スタッフ紹介はこちらからご覧ください。

外来担当医表

 泌尿器科の外来担当医表はこちらからご覧ください。

当科の学会施設認定

 学会施設認定はこちらからご覧ください。