脳神経外科

診療・各部門

ご挨拶

脳神経外科のご紹介

当院は救命救急センターを設置しており、名古屋市南部地域の高度急性期医療を担っています。脳卒中センターも持っており、24時間体制で脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった脳卒中に対する治療を行っています。夜間休日を問わず、緊急での開頭手術、脳梗塞に対するカテーテル治療(血栓回収療法)を行うことが可能です。

当科では以前から脳梗塞を予防するための血行再建術に力を入れています。脳梗塞は寝たきりになる原因の第1位であり、脳梗塞になる前に予防することが重要です。脳に入る手前の血管の狭窄(内頚動脈狭窄症)に対しての頚部の血管を広げる手術(内頚動脈内膜剥離術)や、脳内の血管の閉塞や狭窄に対してのバイパス術(血管吻合術)の治療実績は東海地区有数であり、これらの手術を行うことで脳梗塞を予防することができます。また、子供や若年でも脳梗塞を発症する病気に、「もやもや病」という病気があります。当院では、もやもや病の治療に特化した「もやもや病専門外来」を令和4年度より開設しました。豊富な治療経験を元に、もやもや病に対して安全性の高い手術を行えます。

もう一つの特色として、脊椎脊髄疾患があります。「脳神経外科」というと脳の病気だけを治療する科と思いがちですが、当院では以前から脊椎脊髄疾患に対する治療にも重点をおいて扱ってきており、これらの手術はすべて脳神経外科にて行っています。手足がしびれる、力が入りにくい、歩きにくいなどといった症状は脳だけでなく、脊椎・脊髄の病気でも見られます。症状及び神経学的所見を詳細に診察し、その原因がどこにあるのかを評価した上で、適切な治療を行っています。また、脳の手術で培った手術顕微鏡を用いたデリケートで細かい技術により、より安全で正確な手術を目指して行っています。当院の脳外科スタッフは、脳疾患のみならず脊椎脊髄疾患にも精通しているため、脊椎脊髄疾患はすべての曜日の一般外来にても扱っており、受診が可能です。しかしながら、初診時の診察には時間がかかることも多いため、主に紹介患者さんを対象とした「脊椎脊髄外来」を開設し、出来るだけお待たせすることなく、経験豊富な専門医が診療にあたっています。

さらには以前から話題になっている脳脊髄液漏出症に対する検査、治療も積極的に行っています。起立性の頭痛、ふらつき、全身倦怠感などを症状とする病気で、ある日を境に患者さんの生活が大きく変化してしまうことがあります。追突事故などの軽微な外傷後に生じますが、原因がわからないこともあります。脳脊髄液漏出症を疑う症状があるかたは、かかりつけ医より「低髄液圧症外来」の予約を取って頂いた上で受診してください。

対象疾患

①脳血管障害

脳動脈瘤

脳動脈瘤は、脳の動脈にできる血管のふくらみです。脳動脈瘤は破裂する可能性があり、破裂すると、くも膜下出血を引き起こします。くも膜下出血になると、社会復帰できるのは1/3程度と言われています。そのため、くも膜下出血を発症しないように、破裂する前に脳動脈瘤を処置することが重要です。脳動脈瘤の場所や大きさによって破裂しやすさは変わりますので、脳動脈瘤が見つかったら、まずは脳神経外科を受診してください。 脳動脈瘤の治療方法としては、開頭手術(クリッピング術)とカテーテルを用いた血管内治療(コイル塞栓術)があります。動脈瘤の部位、形、患者さんの年齢や全身状態を考慮して、最適な治療法を検討します。より安全な手術を行えるように、術中モニタリングや術中蛍光血管撮影を行い、後遺症が出ないような工夫をしています。

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また、当科では血管のバイパス術を得意としており、治療困難な動脈瘤に対してもバイパス術を併用することによって、根治的な治療を行うことが可能です。

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未破裂脳動脈瘤における開頭術に関しては退院後早期に仕事に復帰できるように無剃毛手術も行っております。

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閉塞性脳血管障害(内頚動脈閉塞症・中大脳動脈閉塞症 etc.)

脳や首の血管が詰まってしまうことによって、脳梗塞を発症することがあります。脳梗塞は寝たきりになる原因の第1位であり、脳梗塞になる前に予防することが重要です。当院は、脳梗塞を予防できる手術である血行再建術に力を入れています。脳の動脈が詰まってしまった場合はバイパス術、頚部の動脈が狭くなってしまった場合は頚動脈内膜剥離術を行っています。また、子供や若年者の脳梗塞の原因となるもやもや病に対する血行再建術に関しては特に自信を持っております。 過去にはバイパス術の有効性を確かめたJET studyにも参加した経験を持ち、こうした血管吻合の技術は、治療困難な巨大脳動脈瘤や血管を巻き込んだ脳腫瘍の摘出術等でも威力を発揮し、治療の選択肢を拡げることが可能です。また、手術適応については毎日脳神経内科医との合同カンファレンスにて検討しています。

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②脊椎脊髄疾患

  • 頸椎及び腰椎椎間板ヘルニア
  • 頚部・胸部・腰部脊柱管狭窄症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 黄色靭帯骨化・石灰化症
  • 腰椎辷り症
  • 腰椎分離症・分離辷り症
  • 脊椎・脊髄腫瘍
  • 脊椎・脊髄損傷
  • 脊髄空洞症、キアリ奇形など

「脳神経外科」というと脳の病気だけを治療する科と思いがちですが、決して脳だけではなく、 脊髄や末梢神経に至るまですべての神経疾患を扱います。当院では脊椎脊髄疾患を脳疾患と同等に扱い診断・治療を行なっており、脊椎脊髄疾患の手術は全て脳神経外科で行っております。手足がしびれる、力が入りにくい、歩きにくいなどといった症状は脳の病気でも起こりますが、 脊椎・脊髄の病気や末梢神経の病気でも見られます。当院の脳神経外科スタッフは脳疾患のみならず脊椎脊髄疾患にも精通しており、頭のてっぺんから手足の先まで全ての神経を詳細に診察し、その原因がどこにあるのかを評価しています。また、脳の手術で習得した手術顕微鏡を用いることにより細かい操作が可能となり、より安全で正確な手術を行うことができます。 一般に脊椎変性疾患と呼ばれる脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、靭帯骨化症などに対しては、まずは薬物療法やブロック治療などの保存的治療を試みます。保存的治療でも症状が改善せずに日常生活に支障がある場合や、症状が進行性の場合は手術を検討します。当院では時に整形外科医や神経内科医の協力を得ながら、保存的治療を行った上で手術適応を決定しています。

③脳腫瘍

当院では良性脳腫瘍から悪性脳腫瘍までさまざまな脳腫瘍に対する治療を行っています。手術が必要な場合においては、年齢や全身状態を考慮して手術方法や切除範囲を決定することにより、症状を悪化させずにできるだけ腫瘍を取り除く手術をこころがけています。さらに、手術をより安全に行うために、術中電気生理学的モニタリング、ナビゲーションシステム、術中蛍光診断、といった最新の機器を用いています。悪性腫瘍であった場合は、術後に放射線科と協力して放射線治療を行ったり、他科と連携しながら抗がん剤の治療を行ったりしています。また、近年では、出来るだけ低侵襲に腫瘍を摘出する事を目的として、小開頭にて内視鏡下に脳腫瘍摘出・生検術も行っており、従来の開頭による方法に比べて術後の回復も早くなってきています。

また、下垂体腫瘍に対しては内分泌内科医と連携をとりながら、治療に取り組んでおり、手術は神経内視鏡及びナビゲーションシステムを用いて、身体への負担が小さい経鼻的摘出術を行っています。

毎年、良性・悪性合わせて40-50件前後の各種脳腫瘍の手術を行ってきています。当院では神経内視鏡専門医が4名常勤として在籍しており、先述した内視鏡を用いた低侵襲な手術の割合が増えてきております。

④機能的脳神経疾患

  • 三叉神経痛 ・顔面けいれん ・神経障害性疼痛 など

⑤頭部外傷

  • 脳脊髄液漏出症

治療実績

手術名 H31年 R2年 R3年 R4年 R5年
開頭腫瘍摘出術 37 24 24 23 25
開頭クリッピング術 52 46 55 30 30
バイパス術 17 19 24 50 68
血栓内膜剥離術 35 29 32 31 22
脊椎・脊髄手術 155 159 154 138 161
血管内手術 41 41 58
総手術件数 491 542 597 502 531

特殊外来

専門外来のご紹介

当科では下記の専門外来を開設しています。専門外来では主に紹介患者さんを対象とし、対象疾患を優先的に専門医が診療にあたっております。また、脊椎脊髄疾患に関しては、必ずしも専門外来でなくても、どの疾患も他の曜日の一般外来においても診療対応は可能です。 一般外来・専門外来のいずれにおいても、初診時から患者さんが納得できるように疾患と治療法について十分な説明を行い、より安全でより確実な治療法を行うことに努めています。

診療体制

スタッフ紹介

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外来担当医表一覧

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当科の学会施設認定

  • 日本脳神経外科学会専門医訓練施設
  • 日本脳卒中学会認定研修教育病院