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脳の動脈が詰まることにより血流が途絶え、神経細胞が死んでしまう病気です。
脳梗塞は血管が詰まった箇所や原因によりラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の3つに分類されます。脳梗塞の範囲が広いほど重篤な後遺症が残る可能性が高く、時には死亡してしまうこともあります。
しかし近年では、急性期に適切な治療を受けることで、これまでであれば寝たきりになってしまうような患者さんでも歩いて帰宅することができるなど、症状が劇的に改善する可能性がでてきました。
血管がつまってしまっても、神経細胞にはまだ壊死しておらず回復可能な部分(ペナンブラ)が存在することがあります。
このペナンブラ領域は数時間以内に脳梗塞へと進行するため、脳梗塞が拡大しないようにするためにはできるだけ早く血管を再開通させることが重要です。
血管を再開通させる方法には、主に以下の2つがあります。
tPAという血栓を溶かす薬を静脈へ点滴します。発症から4.5時間以内の場合に使用することができます。ただし太い血管に詰まった血栓では再開通率は30%以下と言われています。また重篤な合併症として脳出血があるため、出血リスクの高い方には使用できません。
カテーテルで物理的に血栓を取り除く治療です。発症から24時間以内であれば治療が有効な場合があることがわかっています。またtPAを投与できなかった患者さん、tPAの効果が乏しい患者さんにも効果がある場合があります。治療の効果が見込めると考えられた場合には、tPA投与の有無に関わらず血栓回収療法を行います。
足の付け根、または肘の血管からカテーテルを入れて、詰まっている血管の近くまで誘導します。血栓を回収する機器には、血栓を絡め取るステントリトリーバーと血栓を吸引する吸引カテーテルがあり、最近では両者を組み合わせて血栓を取る方法もあります。
血栓回収後に血管が再開通しています。
脳の太い血管が詰まった場合には、再開通までの時間が短い方が後遺症の程度が軽くなると言われています。中京病院では日本脳神経血管内治療学会専門医が在籍しており、24時間365日血栓回収療法が行える体制を整え、できる限り多くの患者さんがスムーズにこの治療を受けられるよう努めています。