多発性骨髄腫

診療・各部門

多発性骨髄腫とは

 造血組織である骨髄にある形質細胞ががん化した病気です。骨髄の中で形質細胞の腫瘍が大きくなることで、骨が破壊され骨痛が出るとともに骨が弱くなり骨折が起こりやすくなります。また、形質細胞は本来免疫に関わる抗体というタンパク質を作る細胞ですが、がん化したことでMタンパクと呼ばれる異常な抗体を過剰に生産するようになります。この抗体が腎臓を傷害して腎不全を引き起こすことが高頻度にみられます。血液腫瘍の一種ですが、血液腫瘍としては最も進行のゆっくりした病気です。

多発性骨髄腫 診断のポイント

  1. 典型的な症状は、貧血を伴う難治性の腰痛や原因不明の腎不全です。
  2. 診断は、血液検査や尿検査でMタンパクの有無を検査することから始まります。
  3. Mタンパクが存在すれば、全て多発性骨髄腫というわけではありません。 Mタンパクが検出されたら、次に骨髄検査と骨の異常を見るためのX線検査をおこない、これらを総合して診断します。

多発性骨髄腫 治療のポイント

  1. 以前は有効な治療が少なく、治癒や延命より症状緩和のための治療が主体でしたが、 最近は新薬の開発や自己末梢血幹細胞移植術の進歩により、治癒や延命を目指すことが可能なケースも増えてきました。
  2. ここ1~2年でサリドマイドやボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)など、 大変有効な新薬が出てきたため治療は急速に進歩しているところです。ただし、これらの新薬には重篤な副作用も多く、 使用法や使用時期、副作用対策など未知の部分も多く、従来の化学療法や自己末梢血幹細胞移植などの治療法との優先順位など、 標準的な治療法の確立が急がれている状況です。
  3. 骨痛には放射線治療や医療用麻薬が有効です。人工透析が必要になることもあります。
  4. 進行が遅く、治癒率が低いという病気の特徴、および骨病変の進行抑制のために外来治療が望ましい疾患です。

当院の診療実績(平成21年~平成24年)

 
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
多発性骨髄腫
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9
8
10