子宮体がん

診療・各部門

子宮体がんとは

 子宮体部にできる悪性腫瘍です。多くは子宮内膜という組織から発生し不正性器出血を起こします。腟からの超音波(エコー)検査などで子宮体がんが疑われた場合、子宮内に器具を入れて細胞や組織を採取する子宮内膜組織診を行って診断をつけます。子宮体がん検診として子宮内膜細胞診という検査を行う場合もありますが、子宮頚がん検診と比較して精度が低く、痛みを伴うことが多いため、無症状の方全員にお勧めできる検査ではありません。子宮体がんの診断となった場合、MRIやCTなどで病気の広がりや転移の有無を確認します。治療は、切除可能であれば手術が行われ、術後に再発リスクに応じて抗がん剤治療の追加が検討されます。ごく初期で、妊娠の希望がある患者さんには黄体ホルモンという薬を用いた治療が可能な場合もあります。

当院における子宮体がんの診断と治療について

 当院でも子宮体がんに対して、妊娠を希望される初期の患者さんには黄体ホルモン療法を、それ以外の場合には可能な限り手術療法を行います。標準的には子宮、卵巣、骨盤内のリンパ節を取る手術を、リンパ節転移のリスクが高い場合は傍大動脈リンパ節というお腹の上の方のリンパ節を取る手術を行います。リンパ節を取る手術を行うと、術後のリンパ瘻やリンパ浮腫などの合併症のリスクが上がるため、初期の患者さんにはリンパ節を取る手術を省略できないか慎重に検討します。病気が進んでいる場合や、再発した患者さんには、手術、抗がん剤、放射線、黄体ホルモンなどを組み合わせて治療を行います。

当院の子宮体がん治療の実績について

 当院では、毎年10例程度の新規子宮体がん患者さんの治療を行っています。

子宮体がんのトピックス

 2021年12月より進行・再発子宮体がんの患者さんに、レンバチニブとペムブロリズマブを併用した治療が行えるようになりました。レンバチニブは分子標的薬と呼ばれる薬で、がんの血管新生を阻害し増殖を抑えます。ペムブロリズマブは免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる薬で、がんに対する免疫にかけられているブレーキを解除します。両者を併用することで子宮体がんの進行をより長く抑えることができるとされ、再発した場合の治療の選択肢の一つとなります。